石井 孝子: 2008年12月アーカイブ

先のご質問のコメントとして考えた。

 

家族心理士も学校心理士もクライエントに対する姿勢は臨床心理士と違いはないが、その専門性に前者二つに違いはある。

学校心理士は一口で言うと「児童生徒と学校教育を支援する仕事」で、心理教育的なアセスメント、コンサルテーションとコーディネーション、カウンセリングなどが中心となる仕事である。家族心理士は、「家族を相互関連的にも捉え援助する仕事」で、家族関係の調整や、健康な家族をつくるための助言、指導、啓蒙活動などの取り組みをする。

私はこれら学んだことを統合して個人の問題も個人の内的プロセスとしてだけでなく、家族システム、そしてその家族を取り巻くシステムも一連のシステムとらえ、それぞれの関係性の中での問題としても理解しようとする。そして、それらの視点に立ちながらクライエントのニーズに合わせ取り組みたいと考える。

例えば、先のご質問のいじめはそれだけを見ると、被害者、加害者に限定された人間関係の問題であるととらえることができる。被害者の心理状態となりやすい孤立感、無力感、不当感、不信感は大人になっても対人関係に影響するので、解決に向けた早急な対応と手当てが求められる。自信が持てない、自己肯定感がないなどの相談の中に子供のころのいじめられた経験を聞くからだ。

対応としては、いじめ被害者の訴えを受け止め、状況を把握し、当人のニーズを確認しながら学校での方策について学校と連携をとったり、家庭の協力をお願いしたりする。つまり、一連のシステムの中でのこととしてしての取り組んでいく必要も出てくるのである。

 

自殺に至るようなケースについては、その経験もないし、大きな問題なのでご質問に答えることは簡単ではなく控えた。

 

 

石井 孝子
プロフィール
臨床心理士、家族心理士、学校心理士として、教育、子育て支援分野でのカウンセラーおよびコミュニケーション スキルのトレーナー経験豊富。

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